Go Azureに参加しました

日本でのWindows Azureのイベント「Go Azure」に参加しました。

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http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windowsazure/jj129528#top

ずっとJAZUG主催のコミュニティイベントだと思っていたら、マイクロソフト主催の営業イベントでしたw 受付で

「名刺をだせ」(超意訳)

と言われたので

「働いてねぇよウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!」(コミュニティイベントだと思っていたので名刺を持ってきてない)

と受付のお姉さんを困らせました。ごめんなさい。現地は異様なスーツ率&男子率でした、ルナルナのCMが虚しく響くレベルでした。1日目のセッションはMSの社員による Meet Windows Azure で発表されたAzureの新機能紹介でした。

では、セッションごとに感想を。

Opening & Keynote クラウド利用のあらゆるニーズに応える Windows Azure の進化

OP映像で会場が一体となりスタンディングオベーション(嘘) 早く動画を公開して欲しいですね。

キーノートセッションなのに、何か頼りない感じ。デモも観ているこっちがヒヤヒヤするし、偉い人だから普段Azureを使うことはないんだろうなぁ、と感じさせるようなセッションでした。それに対して、砂金さん、井上章さん、高添さんはプレゼン&デモ慣れしてて見てるこっちも安心できました。

印象に残ったことはデジタルハリウッドの3DCGレンダリングの実証実験の事例です、20コアのリソースをクラウドに用意して映像作成を行うというものですが、手元に準備することが難しい巨大なリソースを準備するのはクラウドに向いてますね。ダメだったら使った分だけ払って辞められますし。

「Microsoft(R) Windows Azure(TM)」 を活用したレンダリング実証実験 ~クラウド活用による、制作期間&コストの大幅削減~ 学習環境への導入とデジタルコンテンツ産業の支援を目指す

新ポータルのローカライズについてですが、もうローカライズしなくてもいいと思うんですよ。英語の概念なんですから英語のまま理解すればいいんですよ。新ポータルに慣れてしまったので、しょーもない間違った日本語にローカライズされるくらいなら英語のままの方がいいです。HTMLベースのポータルになっただけではなく、クラシックWebアプリではなくモダンWebアプリに変わったためにとても使いやすいです。GmailのようなSPA的サイトになっているので、デベロッパ的には時間を作ってJavaScriptのソースを読んでみたいですね。Virtual Machineを作成するときのウィザードのようなページはJavaScriptでどうやって実現しているのか興味津津です。

あと、デモでAzure Virtual Machinesの仮想マシンにリモートデスクトップに接続するときの動きがもの凄くスムーズでした。自分のWebロール(XS)はあんなにスムーズじゃない…XSだからでしょうか。デモを見ているとインターネット越しにリモートデスクトップ接続しているとは思えないほどスムーズでした。

Technical Session #1

新機能 "Web サイト" で実現する Web アプリケーション高速開発

この資料見てください。Webサイトの構成図の説明がありました。資料はこちらで公開されています。

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単純にIISのサイトをどんどん追加してるわけではないよな、と思っていたらこういう構成になっていたんですね。WebサイトのコンテンツがAzureドライブに保存されていたのは意外でした。確かにローカルのドライブに置いていたらサーバーに障害があった場合に消えてしまいますし。Azureドライブを使用すると(たぶん)自動的に多重レプリケーションされるメリットもあるのでしょう。I/Oパフォーマンスがどうかは分かりませんが。

あと、MySQLは「ClearDB」という外部のサービスを使っているんですね。さすがにマイクロソフトだけで提供はしないか。WebサイトもWebロールと同様にスケールアップ・スケールアウトできますが、MySQLがボトルネックになりそう。やっぱり規模が大きくなったら、Webロール+Azure SQL Databaseに移行するか、MySQLを高スペックのIaaSで動かすしかないのかな。

あと、WebForm大好きですね。デモのときはMVC使ってほしいな。

最後に、語られなかったWebサイトのメリットがプレゼンテーションに。

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そう、WebサイトはClassisASPの移行も対応してるんです!VB6がWindows8で動作することも発表されたようですし、VB6/ClassicASPは滅びませんよ。.NET1.0/1.1はもうほぼ滅びましたがw

Special Session

マイクロソフトは本当にオープン ソースに対してオープンか?

たまたま.NETラボ勉強会で同じテーマで話す機会があったので、実は今日一番楽しみにしていたセッションでした。

Azureがオープンであることがとても強調されていますが(キーノートでも「究極のオープンクラウドサービス」というキーワードが出ていました)、「オープンであること」自体が目的ではありません。多くの人がWindows Azureを使って、マイクロソフトに利益が出すことが目的です。慈善事業ではなくて営利企業ですから。

多くの人がWindows Azureを使おうと思うためにはオープンであることが1つの基準になります。クラウドのプラットフォームなので具体的には

  • 多くの選択肢が提供されていること
  • 多くのアプリケーション/ミドルウェアが動作すること

だと思います。選択肢については

  • IaaS(Virtual Machine) / PasS(WebRole / WorkerRole / WebSite)
  • SDK (.NET / Java / PHP / Python / Node.js) (Windows / Linux / Mac)
  • VM用OS (Windows / Linux)
  • データ(Blob / Table / SQL Database / MySQL)

と、ユーザーが迷うほどの選択肢が用意されています。(ユーザーからのフィードバックをもとに選択肢を増やしているのですが)

Azure上で動作するアプリケーションについては、以下のブログで色々と言及されています。

Openness Update for Windows Azure

A New Milestone For Openness On Windows Azure

クラウドサービスではマイクロソフトは後発ですし、クラウドで成功しなければ未来はないと考えているでしょうから必死ですよね。Linuxで動作する素晴らしいソフトウェがあれば、エンジニアをだしてWindows / Windows Azureで動作するように協力しています。Windows Azureはプラットフォームですから、その上で動作するものはWindows Server + .NETでなくてもいいんでしょうね(本当は使って欲しいでしょうけど)

マイクロソフトがオープンソースに対してオープンかと言われれば、マイクロソフトにとって利益になるから、つまり、多くのユーザーがWindows Azureを利用してクラウドの勝者になって世界のコンピューティングの覇権を制することができるから、オープンになっているのだと思います。単なる慈善事業ではないのでしょう。したたかに自社の利益のために協力できるとことは協力しているのでしょう。

もちろん、オープンソースに協力することでイメージ戦略もあるのでしょうが、それはオマケでしょう。

マイクロソフト社員がクラウド上のCentOS+GlassFish+MySQLで動くJavaアプリをライブコーディング姿はシュールでした。まさにオープン厨でした。

明日も参加します、一生懸命ステルスします。クラウド開発トラックに篭る予定です。

「ASP.NET Open Sourcing Discussion with Scott Hanselman」をやっと観ました

ずっとまえから観ようと思ってRead It Later(Pocket)に登録しておいた動画「ASP.NET Open Sourcing Discussion with Scott Hanselman」をやっと観ました。.NETラボ6月勉強会でこの内容に近いことを話す機会をいただいたのでやっと踏ん切りがつきました。

ASP.NET Open Sourcing Discussion with Scott Hanselman

ASP.NET MVC4のオープンソース化について基本は以下のブログに書かれていることが中心です。

ScottGu’s Blog: 
ASP.NET MVC, Web API, Razor and Open Source

Scott Hanselman’s Blog: 
ASP.NET MVC 4, ASP.NET Web API and ASP.NET Web Pages v2 (Razor) now all open source with contributions

ただ、ブログに書かれていない興味深い内容についてもしゃべっています。しゃべっている内容を全部まとめるにはガッツが足りないので、個人的に興味を持った部分を抜粋してメモを残しておきます。(英語のスキルには自信がないので、一部内容が間違っているかもしれません)

  • ソースを公開するだけのオープンソース化ではない、ASP.NET MVCはオープンな開発を行う
  • Folks, PullRequestができるようになったし、ユーザーとディスカッションを行うことができる
  • 誰でもコミットできるわけではない、PullRequestの内容をみてASP.NET MVC開発チームで判断する
  • PullRequestに対しては内容を見てディスカッションを行い、取り込むべきと判断したらコミットする
  • ASP.NET MVC開発チームは内部のTFSではなく、パブリックなGitリポジトリにコミットする
  • フィードバックやバグフィックスのリリースサイクルをもっと短くしたい
  • CodePlexがGitをサポートした、これでTFS/Subversion/Mercurial/Gitに対応したことになる
  • CodePlexはTFSのチームと密接に関わっている?

ASP.NET MVCはChromeやFireFoxのように短い周期でどんどんリリースされていくのかもしれません。しかも、WebPIやダウンロードセンターで入手するのではなく、Nugetで配布される気が。4.0.1、4.0.2、4.1.0とか登場すると胸がアツくなりますね、ただ、どのバージョンを使うかでいろいろと問題になる気も。

Channel9ってしゃべってる内容を英語でいいから字幕をつけてくれないかな…デモなしで淡々としゃべっている動画は英語圏じゃない人には辛すぎる。ただの睡眠導入動画になってしまいます。(興味があってみてるんだから寝るな、というツッコミもありますが)

.NETラボ6月勉強会に参加しました

.NETラボ6月勉強会で「マイクロソフトのオープンソース戦略を考える」というテーマでスピーカーを担当させていただきました。

http://www.dotnetlab.net/dnn/Events/NET%E3%83%A9%E3%83%9C%E5%8B%89%E5%BC%B7%E4%BC%9A2012%E5%B9%B406%E6%9C%88/tabid/116/Default.aspx

1週間前にプレゼンテーションをほぼ完成させたのですが、その際に事実だけを淡々と載せて自分の考察を書いていなかったので、当日の資料にもあまり自分なりの考察がない状態になってしまいました。当日使用したプレゼンテーションはSlideShareにアップしてあります。

何でマイクロソフトがこんなに「オープン」「オープン」と声を大きくして言っているのか、と考えてみると、結局は自社のテクノロジーであったりサービスを使って欲しいってことが根底にあるんだと思います。こんなことを言ってしまうと元も子もありませんがw ASP.NET WebFormはこれまでのVB/VBAを使っていたエンジニアを移行させやすくするために、イベント駆動/ViewState/PostBackを採用しました。今までVBをやっていたエンジニアを囲い込むことにはある程度成功しました。そして当時2001~2002年の最大のライバルであったJavaを倒すこと(Javaエンジニアを取り込むこと)が至上命題だったのだと思いますが、ViewState/PostBackに代表されるWeb,HTTPを隠蔽した超独自仕様のおかげで、他のテクノロジーのエンジニアを取り込むどころか「Java派vs.NET派」に近い相容れない構図が生まれてしまったように感じます。Sun Microsystemsの凋落とともにJavaが衰退し始め、Java/Strutsに替わるものとして勢いが出てきたのが、ASP.NETではなく、PHP/Ruby on Railsでした。ASP.NETはある一定のエンジニア(昔からVBを使っていた人たちを中心に)を囲い込むことはできましたが、Java/PHP/Ruby on Railsからの乗り換え対象とはなりませんでした。

じゃ、どうするか?ASP.NET WebFormを他のテクノロジーのアドバンテージを取り込んで進化させられるかといえば、超独自仕様がウリになっているためそれは不可能です。ということで、Struts/Rails(特にRailsを意識した)に似せたASP.NET上のMVCフレームワークを作って、他のテクノロジーからの乗り換え対象としたいと考えました。それがASP.NET MVCです。他のテクノロジーがオープンソースになっているためASP.NET MVCもオープンソース化し、パブリックなリポジトリを使用して開発を行うようになりました。独自のJavaScriptライブラリを使用せず、デファクトスタンダードとなっているjQueryを採用しました。すべて、今までASP.NETを使ったことのないエンジニアにASP.NET MVC+C#を使って欲しいからです。WebアプリケーションフレームワークとしてはASP.NETは弱者な訳ですから、他のテクノロジーが採用している技術、思想、開発方法などはどんどん取り入れました。結果「オープン」になりました、なのかもしれません。

Windows Azureもほぼ同様です、クラウドではAmazonというビッグプレーヤーがいます。AmazonはOSやアプリケーションフレームワークに対するしがらみがないので、WindowsもLinuxも動きます、JavaもPHPもRailsも.NETも動きます。MongoDBも動きますが、MySQLだって、SQL Serverだって動きます。こんなビッグプレーヤーに対抗するためには、「AzureはWindows+.NETしか対応しません キリッツ」とは言えないわけです。いろんなテクノロジー、いろんなソフトウェアが動作する必要があります、自社テクノロジーを使ってくれるのが一番うれしいのはそりゃそうでしょうが、そんなことは言ってられないのでしょう。インメモリキャッシュやHPC(BigData)では後発の自社開発テクノロジーではなく、デファクトスタンダードに近いソフトウェアを動作させることを優先させています。結果「オープン」になりました。

OSやデスクトップアプリケーション開発ではマイクロソフトは強者です(たぶん、OSはApple/Googleがいるので今後どうなるかは分かりませんが)しかし、Webアプリケーション開発フレームワーク、クラウドプラットフォームでは、それほど強者ではありません。では強者とどう戦うかというと、まずは現状の強者ができることは少なくともできるようになっていなければなりません。スキルを移行しやすくするために自社開発にこだわらず、スタンダードな技術は積極的に採用していく必要があります。結果「オープン」になり、「オープンであること」アピールしているのかもしれません。「オープンであること」それ自体は目的や果たすべきものではなく、ビジネスである以上、自社のテクノロジー・サービスを多くの人に使ってもらい、お金を落としてもらうことが最大の目的です。そのためにやってきたことが、結果として「オープンになってしまった」のかもしれません。

当日、自分のセッションを終えて休憩時間になってふとそんなことを思いました。もっと早く真剣に考えれば、自分なりのいろんな考察ができたのかと思うと、悔いが残りました。

尾上さんのMVVM/MVCの話を聞いていて、ASP.NET MVCアプリケーションを作っているとMの部分がどんどん大きくなる(クラスが増えていく)ことに不安を感じていましたが。そうあるべき(UI、Web/HTTP以外ごと、つまりビジネスロジックはMに集まる)と理解することができ、非常に勉強になりました。ちょっと大きめのソース(Project Silk/EFMVCとか)を読んで勉強しようと思います。

.NETラボ6月勉強会でスピーカーを担当します

.NETラボ6月勉強会で「マイクロソフトのオープンソース戦略を考える」というテーマでセッションを担当します。

.NETラボ6月勉強会

マイクロソフトは近年「オープンであること」「オープンソースへの貢献」に力を入れています、自分が追いかけているASP.NET/Windows Azureでは特にその傾向が顕著です。

ASP.NET MVCはバージョン1から、各種Windows Azure SDKはオープンソースで公開され、ASP.NET/Windows Azureでは「オープン」という言葉を目にしない日はないといっても過言ではありません。(ちょっと言いすぎかも…)ただ、クライアント/デスクトップアプリケーション開発を行なっている方にはあまり馴染みがないらしく、上記ソフトウェアがオープンソースで公開されていることを話した時に驚いていました。

というわけでマイクロソフトのオープン/オープンソース戦略について喋って欲しいという依頼を(酔っている状態で)受けて、現在に至ります。とは言ってもサイトに載せていただいた説明文や上記文章を読んでも何を話すのかわからないと思います。なので、手元のメモを載せておきます。これを見ると何を喋るのか何となくでもわかっていただけるのではないでしょうか。

  • 「オープン」とは
    • オープンであること
    • オープンソース
  • オープンな製品/サービス
    • Web
    • Cloud
    • Not Microsoft
  • 1.Web
    • Intenet Explorer
    • ASP.NET MVC
    • ASP.NET MVCに同梱されるOSS
    • WebPlatform Installer
    • Nuget
  • Internet Explorer
    • オープンな標準(HTML,CSS,ECMAScript)に準拠
  • ASP.NET MVC
    • バージョン1からオープンソース
    • MVC4はGitHubで公開
    • Pull Request可能
  • ASP.NET MVCに同梱されるOSS
    • jQuery / jQuery UI / jQuery Validate
    • jQuery Mobile
    • JSON.NET
    • Entity Framework
  • WebPlaform Installer
    • VWD, SQL Server Express, 各種SDKなどWeb開発に必要なものをインストール
    • 各種OSSもインストール可能
  • Nuget
    • 開発に必要なライブラリ、OSSを入手可能
  • 2.Cloud
    • Windows Azure SDK
    • Windows Azure Virtual Machines
    • AzureをサポートするOSSサービス
    • インストールマニアックス
  • Windows Azure SDK
    • for .NET /for Java /for Node.js /for php /for Python
    • 様々な言語で作成したアプリケーションがAzure上で動作
    • GitHubで公開され、Pull Requestが可能
    • RailsもNougakuDo
  • Windows Azure Virtual Machines
    • WindowsだけでなくLinuxが仮想マシンとして動作
    • Windows Server 2008 R2 /2012 RC
    • CentOS / SUSE / Ubuntu
  • AzureをサポートするOSS
    • WordPress, Orchard, Umbraco etc
    • MongoDB, Redis, Memcached? etc
    • Node.jsは非WindowsからWindowsをサポートするようになった事例として有名
  • 3.Not Microsoft
    • Mono / Mono for iOS / Mono for Android
    • PhoneGap
    • Xobot (AndroidのC#実装)
  • C#ってオープンなんですよ
    • ※何をもってオープンと言っているのか忘れたので調べる
  • Mono / Mono for iOS / Mono for Android
    • C#がMac/Linux/iOS/Androidで動作する
    • MonoDevelop,
    • Play Station Suite SDK
  • PhoneGap
    • HTML+JavaScript
    • iOS/Android/WindowsPhone用ネイティブアプリを作成可能
  • Xobot (AndroidのC#実装)
    • AndroidOSをC#で書きなおしたら7倍速くなった
  • マイクロソフトが作成したソフトウェアのソースをなぜ公開するのか
    • ASP.NET MVC, Windows Azure SDK などを公開
    • たぶん赤シャツさんが推進してる
    • ※ここから先はじっくり考えて書く

オマエマイクロソフトの社員かよ!

って言いたくなる内容ですよねw ええ、マイクロソフトの社員の方が伝えようとしているメッセージを自分なりに解釈して話す予定です。これだけでもプレゼンテーションが70枚くらいになりますね...どこかをカットしないと…orz .NETラボのエースとMVVMの神様もスピーカーを担当するのでみんなこの2人を目当てで来るでしょうから、得意のステルススピーカーに徹します。

【書評】Windows Azureテクニカルハンドブック

4月のC#ユーザー会でいただいた(じゃんけんで勝ち取った)「Windows Azureテクニカルハンドブック」をやっと読みました。いただいてから約2ヶ月もかかってしまいすみません。

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日本マイクロソフトのエバンジェリストが監修し、AzureMVP3名が内容を書くというこれ以上ない贅沢な布陣です。Windows Azure全体をほぼ網羅しながら、自称中級者の自分が読んでも内容が薄いと感じることはありませんでした。日常的にWindows Azureを使用し・試行錯誤しているからこそ、それぞれの技術的要素の抑えておくべきポイントを把握しているからかもしれません。Windows Azureを知り尽くしているスーパーエンジニアという理由だけでなく、MVPは初心者・中級者を中心にコミュニティで情報をアウトプットしていることを評価されているため、Windows Azureの何をどのように伝えるべきかについて日本では右に出る者がない贅沢な著者陣による本になっています。

以下、本書を読み終わっての個人的な感想を書きます。

本書の対象:

Windows Azureについて初めて学ぶ初級、または断片的な知識を整理して理解したい中級エンジニア(開発者、インフラエンジニアに関係なく)

「クラウドサービスとは?」「Windows Azure Platformとは?」から始まり、1通りWindows Azureの備える機能を網羅しており、初心者から中級者まで活用できる内容になっています。補足・中級者向けの内容は注を使用して解説しており、流れを妨げることなく補足的な内容も合わせて確認することができます。

ポイント:

開発者・インフラエンジニア・運用エンジニア向け:

Windows AzureはPaaSであるため、クラウド上で実行されるサービスを作成する開発者だけでなく、スケーラビリティ・リソースの効率的利用、カットオーバー後の監視・運用を行うエンジニア向けの内容も充実しています。「6章 アプリケーションの運用」は、まさに開発者以外も必見の内容になっています。

.NET以外のテクノロジーの解説:

基本的にサンプルコードはC#で書かれていますが、Windows AzureはJava,PHPなどで書かれたアプリケーションもサポートしています。「5章 アプリケーション開発」ではJavaからJDBC経由、Hibernate経由でSQL Azureへアクセスするサンプルコードが載っています。

事例:

Windows Azure上で稼働している「MSN産経フォト」のアーキテクチャ、開発、運用事例が掲載されています。クラウド上のサービスがどのようなアーキテクチャで稼働しているのか、開発体制は何が変わって何が変わらないのか、インスタンス数増減の運用、オンプレミスでの運用と比較して削減できたコストなど、技術のみを学んでいても知ることのできない非常に貴重な生の事例を見ることができます。

最新情報のキャッチアップ:

Windows Azureは短いサイクルで新機能がリリースされるため、半年前の最新情報が最新でなくなることも珍しくありません。しかし、正式リリースされた機能が根本的に変更されることは考えにくく、内部の造詣に深く、頻繁に情報のアウトプットを行なっている方々によって書かれた本書によってWindows Azureの本質を理解することで、新機能へのキャッチアップも行いやすくなると思います。新機能も現行機能の延長上、現行機能では不足している部分を補うためにリリースされるのであり、現行の1バージョン前の情報をきちんと抑えていくことで、新機能の目的・利用シーンを想像しやすくなります。本書でもWindows Azure管理ポータルは英語版のキャプチャーが掲載されていますが、現在は日本語版を利用することができます。また、SQL Azureの管理用画面も、現在は本書の掲載内容と一部異なっていますが、クラウド上のRDBという本来の役割・目的は何も変わっておらず、これまでできなかったこと、やりにくかったことができるようになっておりやや古くなった情報であっても問題はないと思います。

クラウドのサービスはめまぐるしく新機能が発表され、文字通り日進月歩でサービス内容が進化(変更ではなく)しています。ある時点での最新情報を網羅的に理解し、差分情報を自分で探して学ぶことの重要性が他の分野以上に高まっています。「7章 最新情報」には、未来の新機能をキャッチアップするための場(URL)が記載されており、エンジニアとして書籍、Webページで学んで終了ではなく、常に最新情報をキャッチアップすることの重要さにも触れています。

最後に:

2012/6/8にWindows Azureの大きな新機能が発表されました。IaaSやWebロールよりももっと手軽にWebサイトを構築できる機能が利用可能になっています(Preview版ですが)。現在(2012/06/10)が「Windows Azure 2.0」とするならば、本書に記載されている内容は「Windows Azure 1.0」です。ただし、新機能「Virtual Machines」は「VM Role」の発展版、「Web Sites」はWebロールよりも手軽にサイトを公開するために、AmazonのBeanstalk,Herokuに対抗したサービスであり、「Windows Azure 2.0」は「Windows Azure 1.0」の延長上にあります。新機能が発表されたからといっても、既存機能はこれまでどおり利用可能であり、本書の記載内容が風化するわけではありません。新機能の目的・役割を理解する上でもこれまでのWindows Azureを理解することは非常に重要だと思います。

Community Open Day 2012に参加しました

申し込んだのが直前だったのでキーノートが定員に達しており聞くことができませんでした。前日飲み過ぎて起きたのが11時だったので、どのみち午後からしか参加できませんでしたが。

事前に申し込んだ内容に従って以下のセッションを聞きました。事前に申し込んだのはあくまでも参考で、当日は何を聴いてもよさそうでしたが。

  • Multi-Device + Windows Azure連携アプリケーション開発(13:00-14:00)
  • Windows Azureで2/29に起こった問題のまとめ(14:00-15:00)
  • 今日からはじめるJS UnitTest(15:00-16:00)
  • TFSを使ったアジャイル開発事例(16:00-17:00)
  • MicrosoftテクノロジをつかったふだんのJavaScript開発(17:00-18:00)
  • Windows Azureの新機能とビジネスへの適用案(18:00-19:00)

印象に残ったセッションが2つあったので、メモを残しておきます。

Windows Azureで2/29に起こった問題のまとめ (@harutamaさん)

当日使用した資料はSlideShareで公開されています。

Azureファンにとっては目と耳と鼻から脳汁が垂れてくるような内容でした。知的興奮が高まりすぎて「ε=\_○ノ イヤッホーゥ!」ってなりそうでしたがギリギリのところで抑えることができました。どういう内容かというと

謎のベールに包まれたあのファブリックコントローラーさんの正体が丸裸に!!!

Windows Azureの物理・論理アーキテクチャ、ファブリックコントローラー、AzureホストOSの展開、ロールVMの展開など、ユーザーとしてAzureを使用しているとなかなか見えない部分をわかりやすく解説しています。で、その内部構造を踏まえた上でうるう年に起こったWindows Azureの障害の説明がされています。公開されるかどうか分かりませんが、動画が公開されればAzureファンであれば絶対に見るべきです。本当に、こんな話を日本語で聞ける機会はないんじゃないかと思うくらい、他では聞けない内容でした。これだけでも今回のCommunity Open Dayに参加した価値がアリました。

MicrosoftテクノロジをつかったふだんのJavaScript開発 (@mayukiさん)

mayukiさんかわいい、この一言に尽きます。

懇親会

3次元は苦手なので懇親会は参加せずに帰ろうかと思ったんですが、じゃんけんに勝つと約\10,000相当のASP.NET4本が手に入る可能性があるとTwitterで知り、参加することに。ビール飲みつつステルスしていたら

「Yo!オマエがうちの会社の新入りか?!まぁ、飲めや!!(ビール瓶片手に)」

とLevel5の人たちに囲まれました。ああ…この人達が噂のLevel5の人たちだ…すいません、自分Level2ですから、コミュ障ですから。何で向こうが3次元のステルス状態の自分を認識できるのかよく分からずに萎縮してました。

挙句の果てに

「あれ?WDDで会ったっけ?」

と言われ

「すいません、お会いしてないです。すみません、本当にすみません。」

という状態になってました。

本当に最後の最後でモテモテで全く隙のない、@chack411さんに挨拶することができました。WDDでまったく声をかけられなかったので、一言あいさつすることができて本当によかった…

※懇親会は一部話を脚色しています。本当にすみません。

勉強会とかコミュニティの懇親会って苦手です…3次元って苦手です…次から懇親会は参加するのやめようかな。